• 数学科リレー講座「生誕400年記念 パスカル特集」3日目&受講生の感想

数学科リレー講座「生誕400年記念 パスカル特集」3日目&受講生の感想

2023.08.19

  • KSプロジェクト
  • 数学科
  • 数学部

3日目は、パスカルが16歳のときに発見した「パスカルの定理」と関連する諸定理について、初等幾何の知識を用いて証明を試みました。
まず始めに、土台として「パッポス(パップス)の定理」を紹介するとともに、2直線の位置関係や点の取り方を色々と変えて実際に作図してみました。点の位置が変わっても、ルールに従って定めた3点が必ず一直線上に並ぶことには「この事実を16歳で見つけたパスカルはすごい!」と驚きの声があがっていました。講座ではメネラウスの定理とその逆を紹介し、この2つを用いてパッポスの定理の証明も行いました。

パッポスの定理は2直線上に3点ずつ点をとっていましたが、これが直線ではなく円周上に6点をとっても同様の事実が成り立つということを手を動かして確認し、パッポスの定理を発展させた形としてパスカルの定理(円の場合)を紹介しました。証明するための道具として「方べきの定理」を導入し、メネラウスの定理を複数回用いることで円の場合におけるパスカルの定理を証明することができました。メネラウスの定理をまだ学習していない中学1年生にとっては、三角形と直線が交わらないとき(辺の延長と交わる場合)にどのように適用するのか苦労している様子が伺えましたが、なんとか食らいつこうとする姿が印象的でした。パスカルの定理は円だけでなく円錐曲線(楕円・放物線・双曲線)でも成り立ちます。今回は初等幾何のアプローチで証明しましたが、後半3日間で「射影平面」という概念を導入すると鮮やかに示せるので乞うご期待。

最後に、これまでも度々登場したパスカルの著書「パンセ」について、より掘り下げて紹介しました。「考える葦」以外にも、「クレオパトラの鼻」や先輩にあたる「デカルト批判」、「幾何学と繊細」の一節にふれ、パスカルの考えに受講者全員で思いをめぐらせながら、リレー講座前半が幕を閉じました。

◇前半3日間の受講生の感想
1日目
(中2)
今回の数学科リレー講習で、パスカルの三角形は多項式の乗算に使えるのだと知ってとても驚きました。
また、パスカルの三角形の中に存在するさまざまな規則をもつ数列に興味を持ちました。
それを自分で見つけ出す作業が面白かったです。
去年もこの講座を受けたのですが、毎年取り上げられるテーマが違い、飽きることがない講座です。
色々な先生から講義を受けられる上、話し上手な先生が多く、
難しい内容でもわかりやすいため、来年も受けたいと思っています。
(中2)
パスカルの三角形にこれほど多くの有名数列や規則性が隠れているのが不思議で、
規則性の1つでもいいので自分で証明してみたくなりました。
また、パスカルの三角形の中から、
独自の視点から有名数列を自分で見つける事が出来たのは自分でも驚きました。
嬉しかったです。
このリレー講座は、数学が面白いと思わせてくれて、
自分で調べるためのヒントをくれる講習だと思います。
講習初日のお話で、明日以降の内容にとても興味が深まりました。
凄い講習をして下さり、ありがとうございます。
(中2)
パスカルの三角形の中に様々な数式が隠れているのを知りパスカルの三角形の偉大さにとても驚きました。実際に数式を見つけるところを見て感動しました。

2日目
(中1)
中一の僕でもわかるように、全体的にわかりやすく1から説明されていた。
初めは全く関係ないと思っていたが、確率の計算が数三角形の中に出てきたので不思議に思った。
また、「100回やれば当たる」ことと「1/100の確率で当たる」ことの違いの説明がよくわかった。
(中1)
今まであまり触れたことのなかった確率論を題材として初心者の僕でも楽しくわかりやすく学べてよかったです。家でもいろいろなパターンで考えてみたいです。
(中3)
1日目のパスカルの三角形の話題から二日目の今日は確率の話題でどうつながるのかと思っていたが、確率にもパスカルの三角形が応用できたり、そこから現実的な話まで拡張されるところが面白いと思った。

3日目
(中2)
パッポスの定理という新しい定理がとても面白かった。いろいろな場合でも交わる3つの点が一直線であることに驚いた。パッポスの定理の証明において、メネラウスの定理を使うためかなり難しかったが、少し理解でき興味をもった。パスカルの定理でもメネラウスの定理と方べきの定理を使っており、メネラウスの定理がキーになっていることを知った。どちらの定理もいくつかを組み合わせてから証明しなければいけないのでややこしかったが、先生方の説明が分かりやすかった。1番おどろいたのが、楕円でもパスカルの定理が成り立つというものだった。放物線も成り立つのを知って確かめたいと思った。最後に「パンセ」を読んだ。パスカルは哲学者でもあり「人は考える葦」という言葉を残しており彼自身の考え方がよく分かり、興味深くパスカルの天才さがよく分かった。
(中1)
1日目、2日目よりもレベルの高い話しだったけれど、その分集中して考えられて良かったです。また証明の問題では新しい定理を知れたことが嬉しかったです。パンセの話ではパスカル独自の思想に触れられ、哲学に興味がわきました。
(中1)
パッポスやパスカルの見つけた定理を知り、証明の仕方を知ることができ良かった。
(中2)
パッポスの定理とパスカルの定理は結構難しそうなのに、知っている定理で証明できるのが面白かった。
(高1)
僕がリレー講座で1番面白かったのは3日目のパッポスの定理の証明です。最初は座標平面という制限下で成り立っているのを示し、次に任意の2直線でも成り立っていることに驚きを感じました。その証明を自分が今まで習ってきたメネラウスの定理で行っていることに感動しました。この3日間で改めて数学は奥深く面白いものだと実感しました。